どうも、とがみんです。
2019年6月18日にFacebookが暗号資産「Libra」を発表してから、様々な議論が行われており、マネーロンダリング等犯罪に利用される可能性や、世界経済の影響など様々な意見、懸念があります。
この記事では、暗号資産「Libra」に関する様々な懸念点とそれらに対する意見についてまとめていきます。
「Libra」の特徴については以下にまとめているので、そちらも参考にしてください。
Contents
「Libra(リブラ)」
非合法な活動を助長する可能性
「Libra」によって、国家をまたがる決済が、国家の管理外で行われることにより、マネーロンダリング等が行われやすくなり、非合法な活動を助長する可能性があるといった問題があります。
麻薬や武器の取引、テロリストの資金調達等の犯罪活動を助長してしまう恐れがあります。
マネーロンダリング:麻薬取引、脱税、粉飾決算などの犯罪によって得られた資金(汚れたお金)を、資金の出所をわからなくする資金洗浄。
自国の金融政策の無効化
「Libra」に依存してしまうことによって、依存してしまった国の金融政策が無効化され、経済コントロールができなくなってしまう懸念があります。
「Libra」の実用化に成功すれば、銀行口座を持たない途上国の人々でも手軽に個人の資産を管理できるようになり、国際送金の簡略化が進みます。
その結果、不安定な国は、いつ倒れるかわからない不安定な通貨よりも、安定した強い通貨を保有したいと考え、Libraや、それを通してドル等安全な通貨に交換しようと考え、自国通貨が駆逐されていきます。
このようにLibraや他国への通貨への依存度が高まれば、その国の金融政策が無効化されてしまいます。
Libraのあるなしに関わらず、不安定な国では、そのような資金逃避現象が起こるかもしれませんが、Libraによって国際送金が簡略化すれば、よりそういった状態が起こりうるのではないでしょうか。
預金遍在化のリスク
「Libra」と引き換えに支払った資金は、リブラ協会がその資金を運用します。これまで銀行に預けられていた資金がFacebook含むリブラ協会に行き渡ります。
リブラ協会にLibraとの引き換えで振り込まれた預金は、低リスク資産への投資だけでなく、銀行に預金することになるが、その銀行・預金の属性(所在国や預金者)に偏りが出てくる可能性があります。
なぜスイスに拠点を置くのか。危ないことをやっているのでは?
「Libra」運用組織の拠点をスイスに置くことによる不信感もあります。
スイスは金融業務の守秘性が非常に高く、スイスの銀行では入出金の際に名前が表示されないため、匿名で取引をすることができ、また口座番号から身元を特定することができません。
これを利用し、銃や麻薬の密売など、スイス銀行を利用することによって足跡を残さないように利用されたり、富裕層の資産隠しや脱税に利用されたりすることもあるそうです。
本来なら有用拠点をアメリカに作ればいいものの、スイスに作るということは、アメリカの厳しい監査を避けるためではないか?それは、危ないことをやっていると自覚しているのではないか?といった考えもあります。
「Libra」に関する動き
2019年の6月18日に、 Facebookが暗号資産「Libra」を発表してから、様々な議論が行われていますが、それに関する動きについていくらかまとめていきます。
2019年7月12日
トランプ大統領は以下のようにTwitterで発言しています。
….Similarly, Facebook Libra’s “virtual currency” will have little standing or dependability. If Facebook and other companies want to become a bank, they must seek a new Banking Charter and become subject to all Banking Regulations, just like other Banks, both National…
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) July 12, 2019
Facebookその他企業は銀行をやりたいなら、銀行設立の手続きを取るべきだとツイートもあり、規制が強まる方向に議論が進んでいます。
2019年7月の17,18日
2019年7月の17,18日に開催された主要国の財務省、中銀総裁会議で、議長国のフランスは、Facebookが計画する仮想通貨Libra(リブラ)などのデジタル通貨について「最高水準の規制が必要」との議長総括を公表しています。
>G7、Facebookの仮想通貨リブラは「最高水準の規制が必要」
2019年10月4日
2019年の4月に、リブラ計画の主要メンバーであった米PayPalが脱退することが明らかになりました。他方で、PayPalは、中国のオンライン決済市場に参入するとのこと。
PayPalのLibra協会脱退は、中国におけるビジネス展開への影響を考慮した可能性があるとの意見があります。
>リブラ計画からペイパル脱退、構想が砂上の楼閣に終わる懸念も
2019年10月8日
2019年10月8日に、アメリカ上院議員が、Stripe・Visa・マスターカードなどの大手3社に通告書を送り、Libraプロジェクトに関わることへのリスクを慎重に検討するよう警告しました。
>U.S. Warns Visa, Mastercard to ‘Proceed With Caution’ Regarding Libra
>デジタル通貨「Libra」協会からVisa、Mastercard、Stripe、eBayも脱退
2019年10月15日
Facebookが計画する仮想通貨「Libra」(リブラ)の運営コンソーシアムであるリブラ協会が、21社の創設メンバーによって正式に始動しました。
リブラのTwitterアカウントが15日に発表しました。
The Libra Association is pleased to officially welcome 21 member organizations to the Libra Association Council. For more information on the Libra Association charter and its governance structure, visit: https://t.co/OapwKGw039
— Libra (@Libra_) October 14, 2019
>Facebookの仮想通貨「Libra」、21のパートナーが正式署名
>【速報】リブラ協会ついに始動へ 21社が正式加盟・1500社が加盟に関心
「Libra」によって、様々な恩恵を受けることができるとはいうものの、まだまだ多くの論点がありそうです。
また、Libra協会から、PayPal等大手企業の加盟見送りが目立ち、今後「Libra」がどのようになっていくのか楽しみですね(笑)
「Libra」については、以下の記事にまとめているので参考にしてください。
参考文献等
>Facebookが直接答えるLibraの税金と詐欺対策の仕組み
>Facebookの仮想通貨「Libra(リブラ)」概要を解説!今後の懸念と可能性まとめ
>Libraを脅威と見る各国 それでも「ダメ」と言えない理由
>Q. Facebookが発表した新しい暗号通貨Libraの特徴とは?
>Libraは「利益を得られないETF」ステーブルコインではないと指摘:eToroアナリスト