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【マリファナ】なぜ大麻の規制が緩和されつつあるのか、アメリカと日本の大麻の歴史まとめ

どうも、とがみんです。

大麻・マリファナが世界的に合法化に進む流れにあるなか、日本でも大麻に関する「医療目的」の使用など様々な議論がなされています。

この記事では、大麻・マリファナが、どのようにして禁止されたのか、どのような背景で規制が緩和されていったのかについて、その歴史を簡単にまとめていきます。

大麻・マリファナ使用によってどのような社会的影響・効果が考えられるのかに関する様々な意見については、以下の記事にまとめているので、そちらも参考にしてください。


大麻(マリファナ)とは?

「大麻」とは、アサの花冠、葉を乾燥または樹脂化、液体化させたもので、麻薬の一種とされています。

画像:アサの花冠|Wikipedia

麻薬とは、神経と神経を伝達する物資のことをいい、脳内に自然に存在しているものを脳内麻薬というのに対し、その物質を外からの成分で補ったりするものを脳外麻薬といいます。

大麻・マリファナ、タバコ、覚せい剤がこの脳外麻薬にあたり、一般的にはこれらが「麻薬」と言われているものに含まれます。

麻薬には、様々な種類があり、

  • 「脳を興奮させるタイプ」には、覚せい剤、コカイン、MDMA
  • 「脳を麻痺させるタイプ」には、ヘロイン(アヘン系麻薬)、精神安定剤や睡眠薬などの向精神薬、シンナー
  • 「幻覚作用があるタイプ」には、大麻(マリファナ)、LSD
    等があります。

等があります。

「大麻・マリファナ」は、幻覚作用があるタイプに分類されています。

>乱用薬物の種類|NODRUG FUKUOKA

大麻の規制緩和の理由

世界的に、大麻(マリファナ)に関する規制が緩和されつつありますが、なぜ規制が緩和されているのかについて簡単にまとめていきます。

大麻(マリファナ)の無害性

「大麻(マリファナ)」は、アルコールやタバコに比べて遥かに無害なものであることが国際的にも、周知の事実となってきています。

国際NGO「世界薬物政策委員会(GCDP)」は、アルコールやたばこの害は大麻の害よりも大きいと指摘するレポートを提出しています。

>「アルコールやたばこ、大麻より有害」と指摘した国際NGOリポートの中身

また、世界保険機関(WHO)も、大麻草に見られる天然に存在するカンナビノイドの一つである、「カンナビジオール」について、身体的依存効果は報告されておらず、てんかん等の治療に効果的であると報告されています。

>カンナビジオール(CBD 事前審査報告書)

様々な社会的効果への期待

犯罪組織ん資金源となっている大麻の不法流通を州政府が管理することによって、犯罪組織の弱体化を図ったり、

タバコやアルコールといった嗜好品には多くの税金をかけることができるため、大麻の合法化によって税収の確保といった期待もあります。

大麻は鎮静作用があるため、怒りなどの感情で衝動的な行動を起こしにくくなり、殺人や性犯罪などの犯罪が減少するのではといった期待もあり、実際に大麻を合法化したアメリカコロラド州では、犯罪が減少したといった報告があるそうです。

また、大麻の薬効成分である「カンナビノイド」が病気の治療に役立つことが認識され、ガンやエイズの特攻薬や、てんかんとう様々な病気に対する効果もあるとされ、医療利用に対する期待もあります。

その他にも、繊維製品の原料になったり、実からとれる油分は、石油に変わるエネルギー源になるのではといった情報もあります。

大麻(マリファナ)解禁によって、どのような社会的影響、効果が得られるのかについての様々な意見については以下の記事にまとめています。


>世界各国の医療用大麻の政策と実践|国際薬物政策コンソーシアム(IDPC)
>【大麻合法化】世界中で大麻が合法化に進む理由を詳しく解説していきます。

アメリカの大麻(マリファナ)の歴史と現状

次に、アメリカでは、どのようにして「大麻(マリファナ)」が規制されたのか、どのように規制が緩和され、どのような状況にあるのかについて簡単にまとめていきます。

大麻規制前の状況

大麻の生産は、アメリカ南北戦争の時代に繁栄し、農家はそれをロープや衣類、紙の原料として使われていました。

大麻は、政府や医師に広く受け入れられ、1850年には、アメリカ薬局方には、大麻をアルコール依存症、陣痛、吐き気、精神病、月経出血など様々な治療に扱えるということが登録されていました。

>America’s History with Cannabis? It’s Complicated

しかし、1800年代後半から、1900年前半にかけて、「ハードドラッグ」に分類される、コカイン、ヘロイン等激しい中毒性をもたらす薬物が開発され、危険度が低いと「ソフトドラッグ」に分類されている大麻(マリファナ)もそれらと混同されるようになっていきました。

大麻がどのように規制されていったか

1929年の大恐慌によって、失業者が増え、治安が悪化したこともあって、1930年に、アメリカ連邦麻薬局(FBN)の初代長官に任命されたハリー・アンスリンガーがは薬物使用に対する厳しい罰則を設けるようになりました。

1933年には、約10年続いていた禁酒法が廃止されたため、これまで取締っていたハリー・アンスリンガーや役人、警官が自分たちの仕事を維持するために、新たな禁止対象を探し、大麻(マリファナ)に白羽の矢がたったこともマリファナの規制強化の要因であるという意見もあります。

1936年には、ハリー・アンスリンガーは「大麻、マリファナを吸うと気が狂ってしまう」といったキャンペーンを大々的に展開し、マリファナの脅威を国民にアピールしました。

そして、1937年には「マリファナ税法」が議会を通過し、大麻に対して重く課税されるようになりました。

この法律は、大麻の害を防ぐという目的ではなく、大麻製品に課税をすることにより大麻を市場から抹殺することによって、林業と合成繊維業界を活性化するために制定されたものだとも言われています。

この法律により、大麻に重税をかけることで、製紙原料が大麻から木材に移り、繊維原料が、大麻から合成繊維に移ることで、経済を活性化させようというアメリカ政府の目論見だったそうです。また、医療目的での大麻の使用も減っていきました。石油化学産業の発達もこの頃に発達していきました。

そして、1970年には、「規制物質法」が制定され、特定の薬物の製造、輸入、所有、流通が規制され、アメリカ麻薬取締局が誕生し、1986年には薬物乱用防止法が制定されるなど、取り締まりがどんどん強まっていきました。大麻はもっとも厳しい規制対象に入り、あらゆる状況においても使用することが禁止されました。

大麻規制緩和の流れ

一方で、1980年代から、1990年代にかけて、アメリカでAIDS感染者が増加し、処方薬の強い副作用と痛みに苦しむ中、大麻を摂取することで、痛みや副作用が緩和されることが明らかになり。

医療目的での大麻の使用の合法化運動が活発化し、1996年に、アメリカのカルフォルニア州で初めて医療大麻が合法化されました。

そしてそのムーブメントが他州にも徐々に波及していき、1998年にワシントン、オレゴン、アラスカと次々に合法化されていき、2012年には、嗜好目的での大麻の使用が、コロラド州とワシントン州で合法化されました。

2019年1月時点では、10の州で嗜好目的・医療目的での大麻の使用が合法かされ、33の州が医療目的での大麻の使用が合法化され、大麻草とその派生品の栽培、生産、加工、販売と課税を承認しています。


そして、現在アメリカ以外の国ででも、多くの国で医療目的での大麻の使用が合法化され、嗜好目的での大麻の使用も合法化されている国々もあります。

>世界各国の医療用大麻の政策と実践|国際薬物政策コンソーシアム(IDPC)
>マリファナ(大麻樹脂)の歴史
>アメリカの大麻史 【前編】カンナビスが普及するまで
>アメリカの大麻史 【後編】カンナビスの取り締まりから規制緩和に至るまで

日本の大麻(マリファナ)の歴史と現状

世界中で大麻の医療目的の使用、嗜好目的での使用が合法化されていく中で、日本では大麻に対してどのような印象を持っているのか、過去の歴史と合わせてまとめていきます。

大麻禁止の流れと禁止前の状況

大麻は第二次世界大戦後の1945年、ポツダム緊急勅令に基づく、ポツダム省令により禁止されました。その後、1948年にアメリカGHQの指導の元、大麻取締法が制定され、現在に至ります。

大麻が禁止される前は、大麻が喘息の特攻薬として使用され、最も体に害がなく喘息を治療できる薬として、日本の薬局で売られていました。

大麻は規制の対象ではなく、自由に栽培され、大麻の繊維は神社のしめ縄や衣服、紙等、あらゆることに使用されていました。

現在の日本における大麻に対する考え

現在、日本では大麻は危険物質として認識され、医療目的の使用だけでなく、研究を目的とした所持ですら禁止されています。

大麻の乱用により、記憶や学習能力が低下し、知覚を変化させ社会生活に適用できなくなると厚生労働省は警告を出しています。

危険ドラッグ服用による犯罪や、大麻を所持していたことによる逮捕のニュースも多数あり、危険なイメージが多くもたれています。

>今、大麻が危ない!|厚生労働省
>危険ドラッグ常習のシェシェシェ男のブッ飛び人生 15歳から大麻・覚醒剤に手を染め…「孫悟飯になって一旗揚げよう」
>大麻所持、懲役6月求刑、ドラゴンアッシュ金子被告

まとめ

大麻に関する歴史を調べていると、大麻が規制されるに至った背景としては、

大麻(マリファナ)は、人体への害が少ないものの、他の有害な麻薬と一緒にされてしまい規制の対象になってしまった可能性、

様々な利権がからんで、大麻を規制することによって儲かる業界があり、そういった金儲けのためといったことがありそうです。

実際に人体にどれだけ影響があるのかは、わかりませんが、日本では、大麻・マリファナについて、多くのネガティブなイメージがあり、医療目的の使用や、研究目的の使用ですら禁止されています。

研究ですら禁止するほど危険なものなのかは疑問ですね(笑)
日本において大麻は今後どのようになっていくのでしょうか。

大麻・マリファナの合法化によって、どんな社会的影響・効果がでるのかに関する意見については、以下の記事でまとめているので、そちらも参考にしてください。


参考文献等

>カンナビジオール(CBD 事前審査報告書)
>世界各国の医療用大麻の政策と実践|国際薬物政策コンソーシアム(IDPC)
>大麻:健康上の観点と研究課題|世界保険機関(WHO)精神保健・物質乱用防止局
>【大麻合法化】世界中で大麻が合法化に進む理由を詳しく解説していきます。
>【大麻と日本の歴史】なぜ大麻が日本では違法なのか詳しく解説していきます。
>【麻薬】危険ドラッグや大麻から自分の身を守るための授業〜前編〜「薬物乱用はダメ。ゼッタイ。」
>麻薬から自分の身を守るための授業〜後編〜日本の大麻合法化はどうなる?