どうも、とがみんです。
2019年10月から消費税が8%から10%に増税されますが、そんな中、消費税を廃止すべきという声があがっています。
この記事では、消費税の歴史を振り返り、どういった背景で「消費税」というものが導入され、「3%→5%→8%」と増税されていったのかについて、その背景について紹介していきます。
消費税に関するデータをまとめたものと、あらゆる意見をまとめたものについては以下の記事にまとめています。
Contents
日本の税制度と消費税の歴史
戦後からの税制度について振り返っています。
1950年 シャウプ勧告を税制改正に反映
1950年に日本の税制度はシャウプ勧告をベースに反映されました。
シャウプ勧告とは、1949年に、アメリカGHQの要請によって結成されたシャウプ博士を団長とする使節団の、日本の租税に関する報告書のことです。
戦後、人的・物質的損害により、日本は疲弊しきっており、生産するための財源を赤字国債に頼ったため、インフレ圧力が高まっていきました。
混乱した日本の経済事情の元で、どのような税制を立てるべきかということについて、来日したシャウプ博士の使節団が調査を行い提出しました。
その報告書の内容は、直接税中心主義で、直接税を中心にすることによって、国民の納税に対する関心を持たせ、税金の使用用途に関心を持たせることと、
所得に応じた負担をすることによって、富の再分配を機能させるような内容になっています。
そして、それは1950年の日本の税制改正に反映されました。
反映された内容としては、以下のようなものがあります。
所得税
所得税は累進課税で、その最高税率を「85%」から「55%」まで引き下げ、一部の富裕層に富が集中しないように、個人の純資産に対して課税する「富裕税」を設ける。
法人税
法人は擬人であり、与えられた事業を遂行するために作られた個人の集合とし、本来、法人利益が全て個人に分配されるのであれば、法人税は必要ないが、多くの法人は利益の全てを分配するわけではないということで、以下のような課税がされました。
- 法人には単一税率「35%」を設ける。
- 保留している利益に対して、利子付加税率「2%」の税金が課す。
その背景には、組織形態によって税負担に不均衡があれば、組織形態の選択に当たって、生産の能率性よりも税負担の軽減を重視してしまうことと、
法人が利益を保留することによる、株式譲渡に置ける個人の利益に対する課税の延期を防ぐためです。
富裕層の抜け道排除
土地や建物等資産を譲渡することによって生じる譲渡所得の全額課税と、利子所得の源泉分離課税の廃止しました。
このように、シャウプ勧告は、直接税である所得税を中心に、富の再分配によって国民の所得格差を縮める狙いがあったそうです。
直接税:納税者が直接税金を支払う方法。所得税、住民税、法人税。
間接税:納税者と税金の負担者が異なるもの。消費税、その他
1952年 シャウプ勧告に基づく租税制度の変容
1950年に勃発した朝鮮動乱により、日本経済が好転していったため。租税制度が大きく変更していきました。
1950年6月に朝鮮動乱に軍事介入したアメリカ軍は、戦地における様々な物資を日本から調達したため、日本経済が好転していきました。
しかし、日本は戦後疲弊しきっていたため、特需に対応する程の十分な能力を有していないという問題に直面しました。
そこで、産業の近代化に取り組むために、企業の資本の蓄積が不可欠であり、これを支援する方向に税制も変容していきました。
具体的な変化は以下のようなものです。
所得税
総資産から総負債を差し引いた純資産に対して課税される富裕税を廃止し、所得税の最高税率を55%から65%に引き上げ、累進度を高めた。資産の把握が難しく、富裕税を廃止したぶん所得税を引き上げました。
法人税
法人税の内部保留に対する利子付加課税が、法人の内部保留を阻害するとして廃止されました。税制上の優遇措置が法人に対しておこなわれるようになりました。
金融機関の強化
金融機関を通した経済発展に必要な資金配分を強化するため、利子所得の源泉分離課税の制度の復活させ、利子による利益を得る者の税金の負担を軽減しました。
このように、朝鮮動乱による経済の好転のために、シャウプ勧告における租税制度が崩壊していきました。
そして、新たな税制度により、1955年から1977年の高度経済成長を支えるため、大企業や金融機関、資本家の資本の備蓄を税制面で支援しました。
その結果、大企業と中小企業の税負担の格差が広がっていくという問題が発生し、
これまで直接税である所得税が主体だった税制度が、消費税という間接税主体の税制度に変化していきます。
1978年 大平正芳が消費税閣議決定するが廃案
第一次石油ショックにて、高度経済成長の終わりを迎えた日本経済は、大幅な財政赤字となり、財政法で禁じられている赤字国債の大量発行を行いました。
大平主相は、子孫に赤字国債のツケを回すようなことがあってはならないということで、直接税中心だった日本の税体系を間接税主体に改めようと考え、その手段としての「消費税」でした。
1978年大平内閣が消費税の実施を決定しましたが、小売業者や消費者団体の反発を受け、1979年の選挙にても大反対に合い、廃案となりました。
消費税を導入するよりも、先に歳出の徹底的な見直しや不幸へ税制の是正がもとめられました。
>消費税、政治を翻弄し続けた30年 挑戦・惨敗…|日本経済新聞
>「消費税」導入の経緯と益税問題|みずほ総合研究所
1987年 消費税5%法案提出するが廃案
1987年に中曽根内閣にて、売上税法案(実質消費税)を国会に提出しましたが廃案になりました。
廃案になった原因は、小売業界からの反発が多く、更にその直後の選挙で、法案を提出した自民党が敗れたことです。
1989年(平成元年) 消費税3%の導入
1988年12月に、竹下内閣にて、消費税導入を含む税制の抜本改革が決定されました。
そして、その4カ月後、1889年4月に商品の販売やサービスの提供に対して3%の消費税の導入が行われました。
散々反対されてきた消費税ですが、中小企業に対して、様ざまな配慮が行われ、益税も発したため、中小企業の協力を取りつけ、消費税が導入されました。
また、所得税の減税などを含む大幅な税制改革が行われました。
消費税導入後、中小企業への配慮はどんどん縮小されていきました。
1997年(平成9年) 消費税率5%へ
村山内閣時に、消費税の5%への増税が決定し、橋本内閣時の1997年4月から消費税5%がスタートしました。
村山首相は、「今後の高齢化社会を迎えるにあたって、所得税だけに依存してしまうと、サラリーマンにより大きな負担がかかってしまう」と述べていたそうです。
また、1996年の11月29日と12月1日のNHKスペシャルでは「消費税を増税しないと日本経済は破綻する」という内容の番組を2度にわたって放送したそうです。
2014年(平成26年) 消費税8%ヘ
2011年野田内閣のときに、消費税税率を2014年に8%、2015年に10%とする法案が提出されました。
社会保障の充実のもと、2012年に消費税増税が可決成立しました。また、法人税の基本税率は30%から25.5%へと大幅に引き下げられました。
そして、安倍内閣で2014年4月から消費税8%がスタートし、法人税は、その後安倍政権によって3度引き下げられ、現在の法人税は23.2%になっています。
>それでも本当に消費増税しかないんですか?」10%への引き上げの”立役者”、野田佳彦元首相を直撃!
2019年(令和元年)10月 消費税 10%ヘ
そして、2015年10月からの消費税10%の増税は2度延期され、2019年の10月から消費税率を10%に増税されます。
まとめ
2019年に入り、7月の参議院議員選挙で、消費税を増税するのか廃止するのかといった議論が繰り広げられていた消費税ですが、
その導入背景や増税背景には、「産業近代化のための大企業・投資家(金融機関)の強化」「国の借金返済」や「高齢化社会を見据えた社会福祉」という理由がありました。
現在、消費税増税に関する議論の中で、「国の借金」というのは真っ赤な嘘であり、消費税による増収はたったの16%しか社会保障に使われていないといった意見もあるので、消費税増税に賛成か反対かはしっかり考えた方がよさそうですね(笑)
消費税に関するデータとそれを元にした考察や、さまざまな意見を以下の記事にまとめているのでぜひ!
参考文献
マンガでわかるこんなに危ない! ?消費増税
Youtube:【政治】なぜ増え続ける?「消費税増税」〜裏に隠された歴史編〜①
Youtube:【政治】消費税増税は本当に必要なのか!?〜不都合な真実編〜 ②
>シリーズ 池上彰・総理の秘密<17> 消費税の引きあげ
>「消費税」導入の経緯と益税問題|みずほ総合研究所
>消費税の歴史(1989~2001年)